「建物の裏側を通ることができる」
これは制作を開始した当初から、目指すべき品質の一つとして掲げてきたものです。RPGツクールでは★タイルの利用によって実現するのですが、実際のマップで建物の裏側を表現すると意外と難しく、結構な時間が掛かってしまいました。マップの制作開始から1年以上が経過し、2017年3月に入り、ようやく動くようになりつつあります。
RPGツクールでは標準的な造りで進めた場合、2Dの斜め上空(45度前後)からの視点の、見下ろし型のマップ表現になります。つまり完全な真上からの視点ではなく、マップに描写される建物も角度が付いています。その結果、建物の背後には屋根や壁に隠れた≪裏側≫が常に存在します。
「常識的に考えて通れそうな所は、通れるはず(本気)」
この先は通ることができそうです。
やっぱり、通ることができましたね。
建物の影にヒントもありますし、視界よりも広いミニマップの存在により通行可能であることはすぐに分かります。
上のスクリーンショットはやや裏側が広すぎる感もありますので、調整は必要です。建物の高さ表現に合わせて通行可能エリアを決定するとこうなってしまうのですが、2Dゲームのマップ表現は嘘が多いので、あまり数値通りに厳密に作っていると違和感を覚えるかもしれませんね。
建物の裏側を通ることができる。
これは地味な出来事ながら、とても重要なことだと考えています。私は数多くのツクール作品をプレイさせていただくとき、プレイヤーとして常々思っていたことなのですが(制作者には伝えませんでしたが)、なぜ建物裏を通行できないようにマップが制作されているのか、不思議でした。実際に自分で制作してみて、なるほど、言うのは簡単でも実現するには大変なことだったんだなと実感します。
そういうのを実現させていくのが制作の面白いことなので、今回は建物が半透明になるところまでやっていますが、3Dのネトゲではこのあたりのことはゲームエンジンが勝手にやってくれるのか、当たり前のように実装されている内容になります。ゲーマーは全く驚いてくれませんしむしろ「通れて当たり前」・「半透明にする処理が入るのは当たり前」なんですよね。RPGツクールというのがいかに前世紀的で、いかに狭いジャンルということがよく分かります。
ツクールは20年前のゲームエンジンです
2本まとめて安くなったりはしません。
なんにも工夫しないと、20年前の名作に対し100%完璧にガチ余裕で負けます。
ツクールシリーズは制作ツールとして大変扱いやすいのですが、わりと歴史のあるシリーズのため、ゲームエンジンの進化がぴたりと止まっている部分も数多く残っています。なかでもマップは90年代のままです。シリーズ最新作のMVは解像度が高くなり、3層対応に向けての微調整が入っていますが本質的には90年代のマップです(00年代以降は3Dのゲームエンジンで解決するのが王道)。制作者による工夫の余地が大いにあるという前向きな視点で捉えるか、ツクールは取り残されたゲームエンジンであると後ろ向きな視点で捉えるか、意見の分かれるところかと思います。
課題
目下の課題は、建物の裏側となるエリアに何を配置するのかということです。置くことのできるオブジェは少ないんですね。地面の模様(A1タイル)くらいでしたら簡単ですけど。
なんで難しいのかというと、猫だからなんですよね。多くのオブジェの下に隠れるということは、それらのオブジェは★設定をしなくてはならないのです。一つの座標に★タイルを2つ以上配置することの難しさは半端ないです。つまり、裏側を通ることはできるけれど、大したものは何もない。ということになってしまいかねません。制作ツールの本質的な限界ですが、それをいかにして工夫するかという点が、今後の課題です。