マネージドRPG、アンマネージドRPG とは何ゾ?

こんにちは。制作の途中ですが、今日は表題の用語についてコメントしてみます。

ツクールフォーラムに投稿される多くの(ほとんどの?)方は「マネージドRPG」を前提に話をされているのに対し、私の投稿は「アンマネージドRPG」を前提にしていることに気付きました(今頃!?)

この二つは、RPGの場面ごとのデザインなどが根本的に異なるため、区分しないまま読み進めると???となってしまいます。

ほとんどの方はマネージドRPGの話をされていますが、マネージド(managed = 管理された)とは何を意味するのでしょうか。RPGでは、プレイヤーの次の行動をメインシナリオが管理する場合は「マネージドRPG」と呼ばれ、次の行動が管理されていない場合は「アンマネージドRPG」(unmanaged = 管理されていない)と呼ばれます。
詳しく見ていきましょう。

1.マネージドRPG

1.1.特徴

  • ストーリー全体を統括するメインシナリオは、プレイヤーの次の行動を決定します。
  • NPCから主人公パーティ(プレイヤーの操作するキャラクター)に対して出されるクエストなどを通して、プレイヤーには次に何をするか次にどこに向かうかが示されています。
  • 次の行動は複数の候補が示される場合がありますが、チェックポイントではメインシナリオに戻ります。
  • チェックポイントとは、プレイヤーが必ず通過するシナリオ上の要所です。チェックポイントを通過するときの適切なLV(レベル)がデザインされます。
  • パーティで次のチェックポイントを目指して行動する「チェックポイント通過型フィールドゲーム」をイメージすると分かりやすいかもしれません。
  • 最後に用意されたチェックポイントが終着点(ゴール)です。これは最終ボスとの戦闘(ラストバトル)であったり、それに代わる最終シナリオの関門(パーティの力を集めて突破することが求められる障害。シナリオのクリア条件)であったりします。
  • 「ベストエンディング」や「真のエンディング」が用意される場合があります。
  • 派生として、メインシナリオの誘導を緩めて、サブシナリオを任意に選択できるものを「フリーシナリオ方式」と呼びます。これらもマネージドRPGに含まれます。
  • 順路が示されているので「水族館方式」とも呼ばれます。(マネージドRPG)

1.2.代表的な例

  • 国産RPGのほぼ全て
  • 筆者がプレイしたことがある中では、「英雄伝説 空の軌跡」(日本ファルコム)などが代表的な例です。 (マネージドRPG)

1.3.RPGツクールでの制作方針

  • 【基本方針】シナリオ重視で制作します。全体を統括するメインシナリオが無いと、RPGとして成立しませんので、重視というよりむしろ必須です。
  • 【チェックポイント】複数のチェックポイントが必要です。メインシナリオがある程度以上の長さになると、LVが低すぎるまま次のシナリオに入ることを避けるため、何からの方法でLVを調整する必要が生じます。オーソドックスな方法は、ボスクラスの敵対キャラクター(中ボス)を配置して、これに勝利することにより次へ進めるというデザインです。
  • 【アイテム】ゲーム内のアイテムの入手、装備品の入手、お金の入手についてシナリオの進行上問題がない範囲となるように調整を行います。
  • 【重要アイテム】貴重なアイテム(重要アイテム)という概念が発生します。それが無いとメインシナリオを進められなくなる可能性がある場合に、重要アイテムという属性を付与して、プレイヤーが誤ってアイテムを捨てたり売却ができないようにします。
  • 【時間経過】ゲーム内の時間経過の概念は不要です。メインシナリオの進度が時間経過の役割を担うため、それとは別の時間経過の概念を追加するとロジックが破綻するおそれがありますので、メインシナリオの進度から日付(季節・年)を算出した方が無難です。
  • 【逸脱対策】プレイヤーがメインシナリオを外れる(順路から外れる)と進行出来なくなるため、外れないように(なるべく自然な形で)誘導します。天の邪鬼なのか意図的にメインシナリオを外れようとするプレイヤーも一部に居ますが(例:筆者)、そういうのはサポート不可能なので無視します。 (マネージドRPG)

2.アンマネージドRPG

2.1.特徴

  • RPGの開始地点と終了地点が存在するのはマネージドRPGと共通した特徴ですが、開始と終了までの間を統括するメインシナリオは存在しないか、または限定的です。
  • メインシナリオが存在する場合、プレイヤーの次の行動を決定する参考とすることはできますが、次の行動が示されることはありません。プレイヤーは、メインシナリオに沿って行動する必要はありません。
  • チェックポイントが存在しません。チェックポイントのように見えるもの(ボスクラスの敵対キャラクター)があっても、それは擬似的なもので、プレイヤーは無視することができます(もちろん倒すこともできる!)
  • プレイヤーが自分で意思決定を行わないと、主人公パーティは完全に道に迷った旅行客グループのようになります。「やべぇ、何したらいいのかわかんね」 そして、このような現象は(アンマネージドRPGでは)十分起こりうることですし、これを解決するのもプレイヤー自身となります。ゲームシステム側は順路を示しません。
  • フリーシナリオ方式のRPGと、アンマネージドRPGは異なります。フリーシナリオ方式は、メインシナリオの制約を緩くして選択肢を増やした、マネージドRPGの一種です。それに対して、アンマネージドRPGのシナリオはゲーム開始の直前までに留まります。ゲーム中はメインシナリオがありません。完全自由行動となりますが、本当にその行動ができるかどうかは、作中世界の物理法則などによる制限を受けるため、自由ではあっても何でも出来るというわけではありません。
  • ゲームの終盤に用意されているのは危機勢力です。これを一種のシナリオと捉えることも可能ですが、危機勢力は前触れなく突然やってくる(備えるためのガイドは示されない)ため、強制クエスト、あるいは自動発生クエストと考えたほうが良さそうです。
  • 危機勢力が到来したタイミングで、主人公パーティが十分に成長していないと、危機に対して全く対抗することができません(一瞬で敗北します)。(マネージドRPGのように)順路を進めば十分に成長することを約束するメインシナリオが無いため、プレイヤーの行動によっては、攻略困難な状況、あるいは「詰み」になることがあります。
  • プレイヤー(主人公パーティ)は、到来した危機勢力とは戦わないという選択をすることもできます。その場合にも対応したエンディングが用意されます。何が用意されるかはゲームにより異なります。世界が滅亡するエンディングかもしれませんし、危機勢力との決着が付かないエンディングかもしれません。あるいは全く別の解決策が示されるエンディングかもしれません。
  • 「ベストエンディング」は原理上、存在しません。何がベストにあたるかは、プレイヤーの決定に一任されます。
  • 通常のエンディングが用意される場合と、何も用意されない場合があります。プレイ時間に制限が無い場合、プレイヤーが自分でエンディングの内容を決定することがあります。
  • 攻略サイトの記述が全てのプレイヤーに通用するものではなくなり、大まかな攻略方針を示したものか、あるいは個々の要素についての記述になります。共通の攻略ルートが存在しないためです。そして、最短の攻略ルートと呼ばれるものも存在しません。あるプレイヤーが最短の攻略ルートを見つけたとして、そのルートを二回目のプレイで再現出来るとは限りませんので、他のプレイヤーが再現出来るはずもありません。(※もし攻略手順を再現出来るとしたら、それは「マネージドRPG」です。)
  • 順路が無く、順路の候補もありませんので、「大自然方式」とも呼ばれます。(アンマネージドRPG)

2.2.代表的な例

  • 筆者がプレイしたことがある中では、「ルナティックドーン」(アートディンク) などが代表的な例です。(アンマネージドRPG)
  • 現在のRPGではほとんど見られませんが、海外のDLC山盛りのストラテジーゲームをRPGのようにプレイすると、実質的にアンマネージドRPGになります。

2.3.RPGツクールでの制作方針

  • 【基本方針】世界観重視で制作します。ここでいう世界観とは、シナリオの土台となる概念的なものではなく、主人公パーティを取り巻く環境全てのことを指します。メインシナリオがありませんので、世界観がメインシナリオの役割を持ちます。
  • 【チェックポイント】あらかじめ用意されているチェックポイントはありませんが、プレイヤーが(攻略のために)自分でチェックポイントを考案する場合がありますので、それを(ゲームシステム側が)妨げないように考慮します。
  • 【アイテム】ゲーム内のアイテムの入手、装備品の入手、お金の入手について世界観に適合するかの確認を行います。入手可能なアイテムはプレイの開始ごとに異なり、プレイヤーは一回のプレイにおいて全てのアイテムを収集することは原理上不可能とします。
  • 【重要アイテム】貴重なアイテム(重要アイテム)という概念は(ゲームシステム側に)ありません。それらはプレイヤーが決定します。
  • 【時間経過】ゲーム内の時間経過の概念を用意します。危機勢力が到来するタイミングを決定するのに必要です。ただし、プレイヤーもプレイ中に休息を取る必要があることから、キャラクターを操作しないときはゲーム内の時間経過を一時停止できる機能は必要でしょう(ポーズ機能。「PAUSE」)。
  • 【逸脱対策】メインシナリオがありませんので、対策は必要ありません。(アンマネージドRPG)

2.4.アンマネージドRPGの難しさ

筆者はアンマネージドRPGを制作中ですが、次のような難しさがあります。

  • プレイヤーの興味を持続させるための仕掛けが必要です。マネージドRPGでも必要なものですが、マネージドRPGはシナリオに力があります(これは大きな助けになります)。アンマネージドRPGではシナリオで引っ張ることが原理上できないため、シナリオ以外の要素が、より一層重要となります。
  • 普通に制作すると、ゲーム上の「詰み」(そこから先の攻略が極めて困難な状況に陥ること)が発生するおそれが極めて高いです。出来ることの幅を増やして可能な限りプレイヤーが自らの判断で詰みを回避出来るようにしますが、無理な場合も必ず発生します。アンマネージドRPGでは、「詰み」は起こるものと考えるしかありません。その場合にプレイヤーは現在のプレイを放棄して二回目のプレイを開始するしかなくなりますので、それを行わせるだけの決定的な魅力が求められます。
  • 詰み対策が必要。それは分かりました。では具体的に何をすれば良いのでしょうか? 筆者の制作のケースでは、主人公を猫にすることで、猫好きならばゲームが「詰み」のまま放棄(RPGごと捨て、プレイを止めてしまうこと)は、その猫を捨てるのと同義だというメッセージを散りばめておき、二回目のプレイを強く促します。単純な作戦ですが、猫は決定力が高く、決まってしまえば無問題でしょう。プレイヤーがプレイを続けてくれるかは、主人公のキャラクターとしての魅力に左右されることになります。猫好きでないプレイヤーは即座にプレイを止めてしまいますが、それは想定通りです(むしろ、猫好きでないのにプレイを開始したことに驚くわ)。
  • マネージドRPGでは当たり前ともされる概念が、アンマネージドRPGにおいてはゲームシステム側の制約となり、プレイヤーの行動範囲や選択肢を狭くすることに繋がりかねません。そのため、マネージドRPGがこれまでの(RPGの黎明期から現在までの)発展で積み上げてきた「当たり前とされている概念」を一旦全て崩し、一つ一つが「アンマネージドRPG」に通用するのかどうかを再検討して、取捨選択して再構築しています。言うのは簡単ですが、制作作業量を一気に増やすことになりかねません。制作者の興味も持続しないと危険です。
  • マネージドRPGから引き継いだ概念には、「HP」「レベル」「経験値」などがあります。これらはアンマネージドRPGでも十分に通用すると考えられるためです。アンマネージドRPGは少数派ではあっても、90年代に確立された既存の概念のため、新しいジャンルのRPGを制作するのではありません。現在の王道のマネージドRPGで使われている要素のうち、引き継げるものは全て引き継いだ方が良いと考えています。
  • マネージドRPGから引き継がなかった概念には、「雑魚モンスターを倒して経験値を貯める」「NPCと会話して情報を得ると先に進む」「お使いイベント」などがあります。いずれもアンマネージドRPGでは使用出来ないと判断しています。この辺りについての詳細は、別の機会に話すこともあるだろうと思います。
  • マネージドRPGでは王道とされていたものを使わずに制作することが多々あり、マネージドRPGを想定されている制作者とは、話が全く噛み合わないことになりかねません。筆者も、アンマネージドRPGの制作に集中するため、マネージドRPGのことを考えている余裕が無く、マネージドRPGの話は出来なくなっています(面倒だなっ!)。
  • それ故か、ツクールフォーラムでの seea(筆者)の雑談・ディスカッションのコメントが、(マネージドRPGの視点では)何だかよく分からないものになっていますね。筆者は、他の制作者の方と全く異なる発想をもとにコメントを書く(スレッド主の予想の斜め上か、斜め下を行く)のを好みますので、別に良いっちゃ良いんですがw
    アンマネージドRPGの視点と仮定して読んでみると、意外と話が通って面白いかもしれませんね。

用語について

本項で使われている用語「マネージドRPG (managed RPG)」、「アンマネージドRPG (unmanaged RPG)」は、RPGの特徴を説明するために筆者が新設した用語です。用語の意味は、本項の内容に記載されています。