MVのゲーム画面の解像度

ゲームエンジンを VX Ace から MV に変更するとなると、よく考えたらレイアウトは全部作り直しである。むぅ。

レイアウト決めには100時間くらい使っていたと思うのだが……やむを得ない。100時間は消し飛んだ! はい今消し飛んだよ!

解像度は VX Ace版は 640×480 だったが、MV版は 1024×576 に決まった。

VX Ace の解像度は 640×480 コレ一択で迷う余地はないと思うけれど、MVは比較的自由に決められるので実は、一週間ほど迷っていた。デフォルトの816×624という変態解像度は止めるとしても、ではいくつにするのかという問題はあるのだ。

 

過去の資産を生かす方策として考えられるのが 640×480 にするという作戦だ。まあ1分くらい考えて没にしたが。さもありなん。MVの数少ないメリットを消してどーする。つまり解像度を下げるというのは無しだ!

 

次に 1920×1080 というのを考えてみた。魅力的な提案だが、最終的にこれは選ばなかった。制作しているのがビジュアルノベルだったら選んでいたかもしれないが、2DのRPGを制作するとなるとマップをどうするのかで困り果てることになる。解像度を上げすぎるのも考え物だ。作り直しってレベルじゃ無くなってくる。

 

次に 800×600、1024×768、1280×960 辺りを検討してみた。特に 1024×768 は、わりとよく使われるPCゲームの解像度だ。解像度も許容範囲内である。昨年から VX Ace の高解像度版というのも実験的に用意していて、1024×768 の検証を重ねていた。しかし、ディスプレイサイズ一杯まで拡大したときに、左右に黒帯が付くのは、分かっていたこととはいえ毎回どうしても気になっていた。

 

横長のゲーム画面はツクール作品に合わないよという、謎の言葉を気にしながらも、最終的に横長のゲーム画面がベストであると気付く。そもそも、いま作っている作品は私の最新作であり、制作の集大成でもあるのだ。黒帯はなしにしよう。……となると、考えるのは 16:9 にするか、16:10 にするか、3:2 にするか、である。

一週間ほど迷った末に 16:10(960×600)としたが、それから一年後、最終的に 16:9(1024×576)に決定した。
960×544(PSVita の解像度)を少しだけ意識していた。

 

縦624(縦だけデフォルトと同じ)、または縦640(3:2)とする案も最後まで残っていたが、そうすると黒帯がどうしても付いてしまうし、その分だけ、一般的な解像度のディスプレイにおいて画面は狭く見える。16:9 は現在の標準的なディスプレイの解像度比率なので、全画面にしたとき黒帯は付かない可能性が高い。対応できるゲーマーは最も多い(2018年4月のアンケート調査に基づく)。

 

理由や経緯を説明し始めると文字がいくらあっても足りないのだが、1024×576 の解像度とすることのメリットが伝わっただろうか。これから MV で制作を開始する人にも、どのようなジャンルであれ解像度の変更をお勧めしたい。私の目の前のディスプレイで最も綺麗に見えて、かつ、作ることができる範囲の現実的な解像度である。私がそのゲームをプレイしたいからお勧めをしている。

実際、PC用のRPGはTVに映してプレイするから尚更である。私も制作の段階からTVでのチェックを重点的に行っている。TVの解像度アスペクト比は 16:9 でほぼほぼ確定みたいなものなので、コレ以外の選択肢は最初から無いぞ。4:3 のTVを探してきてプレイしろってのは流石に無い。

 


2017/12/10 追記

解像度ごとのまとめ

544 x 416 px

  • RPGツクール VX Ace の標準解像度。参考値として掲載した。
  • 不思議な解像度であるが、制作者による調整によって 640 x 480 に変更可能なため、あまり問題視されていなかった。よもや、これがフラグになるとは……

640 x 480 px

  • RPGツクール VX Ace の最大解像度(通常の手段では、これ以上は広く設定できない)。
  • 標準解像度と比べて 1.35倍の広さがある。そう思うと広くなったように感じられるが、プレイヤーから見ると非常に解像度が小さく思われるのと、制作者としても多くのものを諦めなくてはならない。筆者が VX Ace でのリリースを諦めて MV に移行した理由の一つ。
  • 20年以上前の同人系のゲームではよく見られた。
  • MV では選ばれることのない解像度と思われるが、レトロゲームを再現するコンセプトならば、非常に向いている解像度の一つのため検討したいところだ。

800 x 600 px

  • ウディタで選択可能な解像度の一つ。参考値として掲載した。
  • 画面比率 4:3 のPC用ディスプレイの全盛期に非常に多くの2Dゲームで採用され、4:3 の終焉とともに消えていった解像度といえよう。広い意味では、レトロゲームに含まれるのかもしれない。
  • 現在の市販ゲームではほぼ使われておらず、ウディタ製のゲーム以外では見掛けなくなってしまった。

816 × 624 px

  • RPGツクール MV の標準解像度。
  • VX Ace(の標準解像度)からの移行を考慮して 1.5倍にしたものと考えられ、またそのように公式サイトで説明されているが、それ以外は何の意味もない変態解像度。
  • RPGツクール側の事情を知る由もない筆者のようなゲーマーから見ると、謎すぎる上にメリットは一切何も感じられず、この値を信じて創作を開始する作者が不憫にさえ思えてくる。
  • 画面比率が 4:3 のTVが姿を消してから結構な歳月が経過している。PCのディスプレイも、タブレットも、スマートフォンも 4:3 の画面比率の機種は見つけることさえ難しい。いくらなんでも、この解像度をそのまま採用するのは避けたいところだ。制作者の方にはゲーム画面の解像度の調整を強くおすすめしたい。

960 × 540 px

  • RPGツクール MV のRPGの候補となる解像度の一つ。
  • ウディタで選択可能な解像度の一つ。
  • PSVita の解像度(960 × 544)に非常に近い。別に移植できるわけでもないので気にしなくて良いのだが、この解像度を推す根拠は? と尋ねられたときに答えやすいだろう。
  • 960 × 600 の特徴を引き継ぎつつ、16:9 の画面比率を重視するならこちらも検討したい。画面の高さが狭くなっているため(上限解像度の VX Ace比で 1.125倍)、その点は注意が必要だ。

960 × 600 px

  • RPGツクール MV のRPGの候補となる解像度の一つ。
  • 解像度が 640 x 480 に変更された VX Ace と比較して画面幅が1.5倍と、マップタイルの仕様変更(32×32 px → 48×48 px)に伴う移行が考慮されている。高さは1.25倍と抑えられており、画面比率は 16:10 となっている。16:9 のTVに映したときの黒帯は限定的で、特に違和感はみられない。PC用ディスプレイでのプレイと、TV画面でのプレイの両方に対応することを意図した解像度だ。
  • VX Ace の最大解像度と比べて 1.87倍、MV の標準解像度と比べても 1.13倍の広さがある。この広さになると VX Ace で懸念されていた解像度の狭さ感は、ほぼ感じられない。
  • この解像度の最大の急所は 16:9 ではないことである。

1024 × 576 px (この記事での推奨値)

  • RPGツクール MV のRPGの候補となる解像度の一つ。
  • 960 × 600 に残された最後の問題点(16:9 ではない)を解決する解像度。
  • 実は 960 × 600 で制作を開始後、ゲームのプレイヤーにアンケート調査を行ったところ 16:9 派は 16:10 派よりも圧倒的に多かった。16:9 を支持するプレイヤーが多数というのは予想された通りだが、驚いたことにその対抗となると思われた 16:10 は想像以上に少なかったのだ。こうなると 16:10 にこだわる理由はどこにもなく、16:9 のTV画面やディスプレイに映したときに謎の黒帯が見えるデメリットが目立つ。素直に 16:9 で制作するというのが最適解だったのだ。

1024 × 768 px

  • 00年代、10年代のノベル形式の製品では一般的な解像度。なお、市販されているPC用のRPGは、ほぼ例外なく3Dのため解像度などの制約は取り払われている。
  • 現在の同人系の2Dゲームにおいても時々、採用例が見られる。
  • RPGツクール MV の作品でこの解像度を設定するのは珍しいのではなかろうか。筆者は見たことがない。(そもそも、ビジュアルノベルを RPGツクール MV で制作する必要も無いのでは……)
  • ゲーム画面の比率は 4:3 のため、PC用ディスプレイでは気にならなくとも TVに映してプレイするのは(左右の黒帯が非常に大きく)若干の難がある。完全にPCゲーム用の解像度と割り切って使いたい。

1280 × 720 px

  • ビジュアルノベルにおいて候補となる解像度の一つ。ただし RPGツクール MV を用いて制作する必然性もない。
  • マップタイルによる表現は難しく、RPGよりもビジュアルノベルに向いている解像度と言えよう。ゲーム画面の比率は 16:9 のため TVに映してプレイするのに最適。
  • フリーゲームとしてもスタンダードな解像度であり、有力な候補ではあるが、MVで制作した場合にタイルの大きさをデフォルトのまま(48×48)で制作すると、キャラクターのドット絵が予想以上に小さく表示されてしまう。大型のドット絵に刷新するなら 1280 × 720 は適しているが、そこまでしないのであれば 1024 x 576 のほうがバランスは取れているのではないだろうか。
  • 1280 × 720 以上の解像度の動画を YouTube にアップすると HD 動画として登録され、高画質の動画が期待できる(HD 画質の最低解像度が 1280 x 720 である)。16:9 は勿論のこと、元となるゲーム画面の解像度の高さは YouTube で活動するゲーム実況者にとっての大きなメリットだ。そのため、制作者がこの解像度の高さでも制作可能と判断するならば、YouTube への投稿を見越して 1280 × 720 以上の解像度で制作するというのが最適解といえるかもしれない。実況者ではない一般のゲームプレイヤーにとっても、ゲーム画面の解像度は高ければ高いほど嬉しいものだ。

1920 × 1080 px

  • ビジュアルノベルにおける推奨解像度の一つ。ただし RPGツクール MV を用いて制作するかどうかは別問題だ。
  • 2Dのゲームとしては上限と考えられる解像度。マップタイルによる表現は諦めたほうが良いだろう。その代わり、絵のクオリティは最高の状態で提供できる。ゲーマーの環境によっては 4K解像度に引き延ばされる可能性もあるが、その場合でも元が 1920 × 1080 ならば、それほど心配はいらないだろう。
  • イラストの完成時の解像度が足りていない可能性もある。そのような場合は無理に拡大をせず、一段階低い 1280 × 720 で制作した方が、最終的なTVでの表示において綺麗に表示される可能性があるので十分考慮したい。

変更履歴

(2018/09/09) 推奨解像度の修正

初回投稿時(2017年6月27日)は推奨解像度を 960×600(16:10)としていたが、調査・検討の結果 16:10 の解像度比率は最適とは考えにくいことが確認されたため、2018年9月9日の改訂で推奨解像度を 1024×576(16:9)に修正した。

(2018/09/17) YouTube のHD画質について追記

ゲーム画面を 1280 × 720 以上の解像度で制作すると、YouTube で活動するゲーム実況者にとっては拡大しなくてもHD画質が期待できることを明記した。制作者の作りやすさと、実況者から見ての素材の選びやすさを天秤に掛けることになるだろう。